ホームページの中や新着情報の中でも、枕の役割のことについては折に触れ書いてきましたが、今後寝姿から見た身体の状態について順次書いて行くつもりです。
これまで集積してきたデータや図などを使ってより具体的に、できるだけ掘り下げて解説できれば、皆さんのご理解ももっと深まるのではないかと思います。
ただ、その前に最も基本となる「枕の役割」に就いてもう一度確認しておきたいと思います。
子供の時から毎日漫然と使っている枕ですが、人類は何万年も前から、何らかの形で枕を使って来ております。
それは私達人類の体形から、枕を使うことでよい眠りが出来ることを体験的に知っていたからです。
余分な機能にとらわれることなく、原点に返って枕を見直して見ましょう。
枕の一番の役割は?
1) 良い呼吸の確保
普段、呼吸を意識してやっている方は少ないと思いますが、人が生命を保つ上で一番必要なものは良い呼吸によって適切に空気を取り入れなければならないということです。
私は薬品アレルギーがあって、喘息の発作を繰り返すうち呼吸の有難さを身にしみて感じ、呼吸に大変興味を持ち、それが呼吸にこだわるきっかけとなったのです。
睡眠中の良い呼吸とは、ゆっくりとした「腹式呼吸」で、この呼吸は鼻呼吸となりますので、感染症の予防やいびきの軽減などにも関係してきます。
普通、腹式呼吸は難しいものと思われておりますが、枕の高さを正しく合わせることで、100%腹式呼吸になります。
「赤ちゃんはお腹で呼吸をしています。仰向けに寝かせましょう」というコマーシャルがありましたが、これは口呼吸が出来ないので当然のことなのですが、枕を合せて良い呼吸でよい睡眠を取って下さい。
ひところ「うつ伏せね」が話題となりましたが、これは人間を除く哺乳類や、爬虫類、両生類まで、全てうつぶせになって寝ている、だからうつぶせ寝が正しい睡眠姿勢の原点なのだ、ということがこの説の原点なのです。
ただこれは鼻が前に出ている体形状の理由があり、二足歩行となった人類の場合はともすれば鼻を塞いでしまううつ伏せの寝姿が必ずしも当てはまるとはいえません。
2) 正しい寝姿勢は枕で決まる
腹式呼吸のできる枕の高さは、呼吸中枢を刺激しない高さといえますが、これは同時に脊椎全体を伸び伸びと解放して、どこにも緊張を作らない寝姿勢が出来上がります。
ゆったりとしたこの姿勢は、頭の先から足の先まで、滞りなく血液が循環しますので、体の隅々まで疲れを癒してくれるだけでなく、凝りや痺れ、冷えなども改善されるのです。
枕の高さは、1cm違っても枕は全く違ったものになってしまう程、はっきりと呼吸や寝姿勢に影響します。
枕を良くご理解いただけるよう今後を進めたいと思います。
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