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日向野吉一氏
パリ 屋外広告会社JCドコー
広告スペースのある屋根付きバス停を地方公共団体に提案して建築を承認された広告代理店業の会社である。
以来、そのバス停はフランス全土を席捲し、フランスの街の風景に溶け込んでゆく。
そのためパリには統一感がある。しかもその会社は作ったら終わりではなく、1週間に1度、そのバス停の清掃をし、街づくりに貢献している。
ウォール街
優秀な人を詰め込みすぎたため、アメリカがだめになった。
物を作ったりする人たちがいないと社会が成り立たない。
会社のコンセプト
壊れたら取り替える
何にでも、気持ちを
入れていかないと。
40歳まで社員のレベルを高めてきた。物づくりをする為に苦労の多い仕事をやった。
イーサンアーレン・ハーマンミラー・アルフレックス、色んな家具会社の手伝いもやった。
彼らは格好いい物を知ってる。そういう仕事をするうちに、うちの社員も情緒が分かるようになってくるわけ。
そうやって、優秀な社員は育ったけど、いざ何を作る?それで悩んだ。相当悩んだ。
冷蔵庫やトースターを作ってメーカーになろうと思っても、もうできない。みんな持ってる。時計もあるしカメラもあるし、自動車もある。
物余りなの、日本は。
だけど、意外と本物を使わないんだ、日本人は。
女の子がバイトをしてヴィトンのバッグを買う。でも大概の物は100円ショップで済ませちゃう。あっちでは、お金持ちしか使いませんよ、ヴィトンなんて。そういう変な社会。
日本は、全部薄っぺらで見た目重視になっちゃった。
だから、やることなすこと全部が薄っぺらになっちゃった。
そこで思ったのが、どんな時代でもプロの人たちがいると。
歴史に残る建物でも、発注する人、設計する人、建築する人がいる。
そういう人たち、プロにフィットするシリーズを作ればいい、と考えたのがPRO−FITですよ。
威張って言えるのは、平成じゃ最後のメーカーだと思ってます。
メーカーってなかなかなれないじゃないですか。
自分が想像した物を自分で作って自分で値付けして売って行く。
うちは、ゲートでは日本一かも知れない。
なぜかと言ったら、サッシメーカーは同じ物を沢山作ってる。壊れても直そうと思わない。次のを買っちゃう。それじゃダメですよ。
建物に合わせて作る。壊れたら直す。直すから価値があるんじゃない。
だけど、今は、壊れたら次のを買いなさいって言ってるわけ、社会が。
だからみんな100円ショップなの。入魂されてない。
何でも入魂しないと、気持ちを入れて行かないと、つまらない社会になって行っちゃう。
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